ASMRは耳で感じる心地よい刺激を提供する音声コンテンツとして注目を集めています。耳かき音や囁き声など、さまざまな音を収録するためには適切な機材選びが重要です。この記事ではASMR制作に必要な機材について解説します。
ASMRとはどのような音声コンテンツなのか

ASMRは「Autonomous Sensory Meridian Response」の略称で、音を通じて心地よい感覚を得られる体験を指します。制作には目的に合った適切な機材選びが大切になります。
ASMRの定義と特徴
ASMRは、視聴者に心地よい刺激を与える音声コンテンツです。耳元での囁き声や、耳かきの音、ブラシで擦る音など、様々な音を通じて心地よい反応を感じられます。
音の種類によって必要な機材が異なるため、自分が作りたいASMRの種類を明確にすることが重要です。一般的なマイクでは立体的な音の表現が難しく、視聴者が望む没入感のある音を作ることができません。
ASMRの種類による必要機材の違い
ASMRには大きく分けて、耳かきやタッピングなどの接触音を収録するタイプと、囁き声や環境音を収録するタイプがあります。接触音を収録する場合は、人工の耳が付いたバイノーラルマイクがおすすめです。耳の形状を模したマイクで収録することにより、実際に耳元で音が鳴っているような臨場感のある音を作れます。
囁き声や環境音の収録には、高品質なコンデンサーマイクやステレオマイクがおすすめです。広がりのある音場を表現できるため、没入感のある音声を作ることができます。
ASMR制作に必要な基本機材

ASMR制作では、マイクとオーディオインターフェースが基本的な機材となります。用途に合わせた適切な機材選びが重要です。
バイノーラルマイクの特徴
バイノーラルマイクは、人間の耳を模した形状を持つASMR専用のマイクです。両耳にマイクを内蔵し、人間が実際に聞くような立体的な音を収録できます。
代表的な機種として3DIO Free Space XLRやHEADREC BINAL2がおすすめです。これらのマイクは耳型のシリコンが装着されており、耳かきやタッピングの音を自然に収録することができます。バイノーラルマイクはASMR制作において最も重要な機材の一つです。
コンデンサーマイクの活用法
コンデンサーマイクは高感度で繊細な音の収録におすすめです。ASMR制作では囁き声や環境音の収録に使用されます。BLUE YETIやAUDIO-TECHNICA AT2020などのUSB接続タイプは、パソコンに直接接続して使用できる手軽さが特徴です。
より高音質を求める場合は、XLR接続タイプのLEWITT LCT640やRODE NT5などが選択肢となります。コンデンサーマイクは非常に敏感なため、防振対策や設置場所の環境にも配慮が必要です。
オーディオインターフェースの必要性
オーディオインターフェースは、アナログの音声信号をデジタルに変換する機器です。XLR接続のマイクを使用する場合は必須となります。ZOOM H6やTASCAM DR-40Xなどのハンディレコーダーは、オーディオインターフェース機能を内蔵しているため、1台で収録から編集までの作業が可能です。
一般的なオーディオインターフェースでは、Focusrite ScarlettシリーズやSteinberg UR22Cなどに定評があります。ファンタム電源の供給や入出力端子の数など、使用するマイクに合わせた選択が重要です。
予算別ASMRスターターセット

ASMR制作は予算に応じて様々な機材構成が可能です。初心者から本格的な制作まで、目的に合わせた機材選びが重要となります。
5万円以内で始めるセット
ASMR制作を始めるための入門セットとして、USBマイクを中心とした構成が一般的です。BLUE YETIは約2万円で、パソコンに直接接続して使用できます。マイクには4つの指向性パターンがあり、ASMRに適したステレオモードも備えています。
もう一つの選択肢として、TASCAM DR-07Xなどのハンディレコーダーがあります。約1.6万円で、高品質な立体音響の収録が可能です。この価格帯では音質面で制限はありますが、ASMR制作の基本を学ぶ環境として十分な性能を備えています。
10万円以内のスタンダードセット
より本格的なASMR制作を目指す場合、バイノーラルマイクを中心とした構成が良いでしょう。DuoPop 2.0は約4.3万円で、耳型シリコンを備えたバイノーラルマイクです。オーディオインターフェイスには約2万円のFocusrite Scarlett 2i2を組み合わせることができます。
このセットでは耳かきやタッピングなど、ASMRに特化した音声収録が可能です。ヘッドホンには、約1万円のオーディオテクニカのモニターヘッドホンを追加することで、正確なモニタリング環境が整います。この予算帯では、プロに近い品質のASMR制作が可能です。
本格的な制作のためのハイエンドセット
プロフェッショナルな制作環境を構築する場合、高品質なバイノーラルマイクが中心となります。HEADREC BINAL2は約8.5万円です。オーディオインターフェイスにはAntelope Audio Zen Go Synergy Coreなどの高級機種を選択することで、より繊細な音声処理が可能になります。
モニターヘッドホンもAKG K712 PROなど、正確な音の定位を確認できる機種がおすすめです。この構成では30万円程度の予算が必要となりますが、プロフェッショナルな品質のASMRコンテンツ制作が可能となります。
ASMR用途別マイク選び

ASMRの内容によって最適なマイクは異なります。制作する内容に応じた適切なマイク選びが重要です。
耳かき・タッピングに適したマイク
耳かきやタッピングの音を収録する場合、バイノーラルマイクがおすすめです。3DIO Free Space XLRは耳型のシリコンが柔らかく、耳かき音の収録に優れた特性を持っています。HEADREC BINAL2は硬めのシリコン製の耳を採用しており、タッピング音の収録に適しています。
囁き声・音声収録向けマイク
囁き声や音声の収録には、高品質なコンデンサーマイクが適しています。LEWITT LCT640は、さまざまな指向性パターンを備え、繊細な音声収録が可能です。AUDIO-TECHNICA AT4040は中低域の表現に優れ、自然な音声収録を実現します。USB接続のBLUE Yetiは手軽に使用できながら、十分な音質で囁き声を収録できます。
これらのマイクはポップノイズの影響を受けやすいため、ポップガードの使用が推奨されます。価格帯は2万円から10万円程度まで幅広く、用途に応じた選択が可能です。
環境音・立体音響向けマイク
環境音や立体音響の収録には、ステレオペアマイクやハンディレコーダーが適しています。RODE NT5は2本1組のマッチドペアマイクで、正確なステレオ収録が可能です。ZOOM H6は4つのマイク入力を備え、多彩な収録スタイルに対応できます。TASCAM Portacapture X8は高音質な収録と使いやすい操作性を両立しています。
環境音の収録では周囲のノイズ対策も重要で、必要に応じて防風スクリーンの使用も検討が必要です。価格帯は機種により2万円から10万円程度となります。
オーディオインターフェースの選び方

オーディオインターフェースは収録した音声を高品質なデジタル信号に変換する重要な機材です。コンデンサーマイク使用時に必須となるファンタム電源は、ZOOM H6やTASCAM DR-40Xなどのハンディレコーダーから供給できます。
また、Focusrite Scarlettシリーズは安定した電源供給と高音質な変換を実現し、Universal Audio VOLTシリーズはビンテージマイクプリアンプの音質も楽しめます。ASMRでは複数のマイクを使用することも多いため、入力端子の数と種類も重要な選択ポイントとなります。
業務用機器の標準規格であるXLR端子、ラインレベル機器用のTRS端子、民生用機器で一般的なステレオミニ端子など、目的に応じた端子を備えた機種を選びましょう。
まとめ
ASMR制作に必要な機材は、制作内容や予算により選択肢が異なります。入門用のUSBマイクからプロフェッショナル向けのバイノーラルマイクまで、幅広い機材が存在します。耳かきやタッピングには耳型のバイノーラルマイク、囁き声にはコンデンサーマイク、環境音にはステレオマイクと、用途に応じた適切な機材選びが重要です。
高品質なASMR制作には機材への投資が必要となりますが、Studio Unshakable(スタジオアンシェイカブル)を利用すればプロフェッショナルな機材を手軽に利用できます。ASMRコンテンツの制作には、ぜひご利用ください。